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□◆□◆ブラッディー講座 特別編□◆□◆

F-1Grand Prix2003 Pre View

1、レギュレーション
まず、今年のレギュレーション変更について説明しよう。
今年はメカニカル、スポーティング共に大きな変更が行われた。
背景には昨今のフェラーリ独走、メーカーチームの台頭、弱小チームの相次ぐ資金不足での撤退が挙げられる。この状況を危機と見たFIAは当面の打開策として緊急のレギュレーション変更を実施した。
では、このレギュレーション変更の内容とその影響について自分なりの解説をしてみることにする。

@テレメトリーシステム禁止
昨年まではピットとマシンを通信で結び、マシンのセッティングなどをピットから変更したり、マシン状態をピットで監視する双方向テレメトリーが許されていたが、初戦から禁止となった。
また、無線交信は認めるがFIAのアクセスによりTVなどでの放映が可能となる。
→F1はドライバー勝負のはず!この変更は正しいと言えるだろう。ピットがマシンを操作してはF1がスポーツではなくなってしまう。ここにかかるコストの削減にもなるため、大賛成である。
無線交信のモニターは従来からCARTで行われてきた手法であり、TVでの視聴率アップにも貢献するだろう。

Aスペアカー使用の禁止
昨年まではスペアカーの使用は基本的に認められていた。今年からは「レースカーが修復できないほどに損傷」した場合に認められることになる。レース中は従来どおり2周までの間のレースカー損傷に限って認められるが、スペアカー使用の場合は再スタート時ピットスタートとなる。
→基本的に賛成だが、損傷の度合いについて誰が判断するのであろうか?運営上の課題が残るように思われるのであるが・・・。またスペアカーそのものは各レースに持ち込むわけであるから、あまりコストの削減にもなりそうにない。

B決勝用の車両保管
最終予選終了後決勝レースまではピット作業を禁止し、FIAがパルクフェルメにて車両を保管する。
作業を行う場合は許可制とし、FIAが監督している状況下で行われる。
→これもあまり意味がないのでは?と思うが、ガソリン補給も出来ないことを意味しているので、戦術と言う面では非常に頭を使うことになるだろう。また、[監督下]の作業とはどのような状態なのか?疑問である。保管状態についても厳重な警備が必要であり、他の経費もかかりそうである。

C予選をシングルカークオリファイにする
予選は金曜日にランキング逆順、土曜日に金曜日の予選結果逆順での1回限りシングルカーアタックとなる。2日間の良い方のタイムが予選タイムとなる。
→大いに注目である。たとえば予選中に雨が降ってきたとすると、最初にアタックしたほうが圧倒的に有利となる。逆に晴天の状態のままだと、[速い車はより速く]という結果になりそうである。とにかくギャンブル性の高い変更と言えるであろう。ミナルディーがポール!などということもありえる。

Dトラクションコントロール禁止
11戦イギリスGPから禁止する
→これは賛成。ドライバーの繊細なアクセルワークが戻ってくる。トラクションコントロールの音はエンジンの高らかな方向を消し去る諸悪の根源であった。

Eフルオートマチックギアボックスの禁止
11戦イギリスGPから禁止する
→これも賛成。やっぱりギアチェンジくらいはドライバーにやってもらわなければ、最高峰レースの名がすたるではないか!

Fロウンチコントロールの禁止
マニュアルクラッチ供給完了時点で廃止する
→確かにスタートの絶妙さが[ドライバーの腕]ではなく「ロウンチコントロールの性能」で決まるのはいかがなものか?と思っていた。これで「ロケットスタートのフィジケラ」が戻ってきそうだ。

G金曜日の2時間占有走行枠設定
FIAに事前に届けを出したチームは金曜日の特別走行枠で2時間の自由な走行を認められる。但し、特別走行枠参加チームのシーズン中テストは10日間に制限される。
→どうせなら全チーム10日間に制限しなければ意味がなさそうである。結局10日間制限のチームは弱小チームだけになり、他のチームは「無限に」テストしてしまうだろう。但し、GPウイークで2時間自由に走らせられるという権利はかなり魅力的である。(台数無制限であるため)

Hポイント制度の変更
1位10点、2位8点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点という8位まで入賞のポイントに変わる
→1位の権威が落ちてしまうように感じられる。昨年の結果に照らし合わせても、ミハエルは結局シーズン中盤でチャンピオンになってしまう計算となる。だったらポールポジション1点、最速ラップ1点にするなどの他のポイントを考えてもいいのではないか?

2、マシン
次にマシン面でのプレビューである。

@フェラーリ
まず、チャンピオンチームフェラーリから。
フェラーリは第3戦までを昨年型F2002で戦うことをすでに決めている。あたりまえである。F2002は昨年のシーズンで[手のつけられない速さ]を発揮しており、このまま最終戦まで戦えてしまうのではないかと言うほどの圧倒的アドバンテージがある。

左はF2002、右がF2003GAである。F2003はギアボックスをさらにダウンサイジングし、リアの空力特性を磨きこんできた。特徴的なのはサイドポンツーンの下部絞込みで、リアのウイング手前の気流整備に力を注いだことが分かる。排気口もリアウイングへの影響を細かく考えたものになっている。
リアカウルを比較すると分かるが、エンジンもVバンクを変更してさらに低重心化してきた。そのことはリアカウル全体をコンパクトにし、ドライバー後方の投影面積は極端に小さい。
フロントウイングやサイドポンツーン、バージボードなどの細かな空力付加物は複雑な3次曲面で構成され、この車に[まっすぐな面]はほとんど存在しない。
フィオラノのテストコースでのシェイクダウン時のコースレコードは記憶に新しい。

Aウイリアムズ
昨年のフェラーリの独走に一番驚愕を感じたのはこのチームであろう。FW25は完全に昨年のFW24の殻を脱ぎ捨てた。

ドロップ型ノーズの採用、低重心コンセプト、サイドポンツーン絞込み形状の変更など、[明らかに違う]マシンである。この大きな変革は、高速コーナーでのリアの安定性というFW24の問題点を克服できると良いが・・・。
エンジン、ギアボックスも全て小型、低重心コンセプトでの再設計となっており、この信頼性が鍵となりそうな気配。
但し、このチームのテクニカルデザイナー[パトリック・ヘッド]という人は[改善の達人]であって[斬新さの天才]ではないのである。テストでの不調が囁かれているFW25の本領発揮はモナコあたりまで待たねばならないかもしれない。

Bマクラーレン
このチームもシーズン序盤を昨年型MP4-17Dで戦うことを決めている。
実はMP4-17はシーズン中盤以降で改良効果が現れ、ウイリアムズよりも速い事がおおかったのである。事実、シーズン前のテストでもトップタイムをマークすることが多かった。
昨年の不振はエンジンにあるといわれている。鈴鹿で実際に聞いたエンジン音も、2001年とは明らかに違っていた。これは2002年から禁止された[ベリリウム素材]によるところが大きい。メルセデス(実際はイルモアエンジニアリング)のエンジンはこの新素材を多用した[フリクションの低減]を前面に出したコンセプトで作られていた。
MP4-17のコンセプトは簡単に言うと[ザウバー流革新フロントサス]に代表される[姿勢変化制御]にある。もともと力のあるチームであり、エンジンの出来いかんでは開幕ダッシュとなるかもしれない。

Cルノー
R23は昨年型の発展コンセプト。114度超広角Vバンクエンジンを搭載し、リアの低重心コンセプトは健在。サイドポンツーンの造りはフェラーリに似ている。今年はギアボックスも小型化し、サスペンション回りの空力処理はフェラーリに似ている
但し、ポンツーン前端部がかなり大きく、冷却系の厳しさを感じさせる。

テストでは信頼性の高さを見せており、中団争いの台風の目となるかもしれない。資金難が囁かれているのが不安の種か?

Dザウバー
C23は完全なキープコンセプト。但し、リア周りは昨年型フェラーリのエンジンを使用することもあってギアボックスが小型になった分絞込みが大きい。

サイドポンツーン高さが非常に高く、サイドに流れる空力にはあまり配慮していない。特徴的なのはマクラーレンが真似をしたフロントサスペンション下側の付け根部分にあり、フロント追従性とフロント下部からサイドに回る空力配慮には一つのトレンドを作り出した。
F2002のエンジンを使いながら、F2002と対照的な部分が目立つ[直線的な]マシンと言える
但し、このコンセプトも4年目に入っており、もはや他チームの進化についてゆけない可能性がある。

Eジョーダン
EJ13は昨年型EJ12の問題点を全て作り変えると言うコンセプトで設計されたようだ。
但し、ジョーダンのアイデンティティである「ハの字型ノーズ]や段付きフロントウイングは健在。デザイナーも[ゲイリー・アンダーソン]が戻ってきた。

ホンダエンジンを失ったジョーダンだが、実は今年使用するフォードのカスタマーエンジンはかなり軽量のF1エンジンであり、重心も低い。昨年のホンダエンジンではリアのカウル周りが低く出来なかったが、今年はリアカウル、サイドポンツーンもより小型、低重心化が行われている。
ドライバーに[見えない]と不評だったハイモノコックは当然改良された。
フォードエンジンの出来栄えいかんにかかっているが、実はこのチーム「なかなかやりそう」ではある。問題は資金だけであろう。

FBAR
昨年までの[大きくて重い]マシンは影を潜め、005はすっかりスリムに変身した。
あのジャックがテストに積極的に参加していることからもマシンの素性のよさが予想できる。

ホンダエンジンはVバンク角を90度に変更。低重心化と軽量化を達成した。
そのおかげもあってリアの造形は大幅進化し、サイドポンツーンの絞込みはF2003のような下部絞込みタイプになっている。
但し、モノコック造形(特に下面)はちょっと[レイナードっぽさ]が残っており、繊細さは見えない。
テストでは[速さ]より前に信頼性が問題となっており、開幕ダッシュはちょっとつらそう。期待できるのはモナコ以降あたりか?

Gジャガー
今年もダメかもしれない・・。
R4は昨年の大失敗作R3の発展マシン。サス周りの剛性アップ、フォードエンジンの90度Vバンク化による低重心の達成で信頼性の向上を目指しているが・・・。

このチームの場合、予算が大幅に縮小されてしまったのではないだろうか?そのためのキープコンセプトと言う考えもある。また、ドライバーも高給取りベテランのデラ・ロサとアーバインを解雇。新人二人に託すこととなった。
但し、昨年のR3がシーズン終盤でたまに見せた速さはなかなかのものであり、若手の爆発が相乗効果で期待できるかも。

Hトヨタ
ギアボックスを新設計し、やはりリア周りの空力を大幅に向上させたトヨタ。TF103のコンセプトはF2002のコピーとでも言うべきか。(かなり似ている)

但し、ザウバーの項で述べたようにフェラーリに比較すると細かい造形に雑さが感じられるのは事実。リア下部の絞込み部分は、上面でのアップスイーブと相乗効果が出る部分であるが、タイヤへの気流配慮は余り感じられない。
未知数なのは[オリビエ・パニス]の存在である。このドライバーはハッキネン全盛期のマクラーレンを支えた職人であり、マシンの熟成に関してはプロである。パニスが素性のよさそうなこのマシンの細部空力を煮詰めることによって意外な速さを発揮する可能性がある。

Iミナルディー
なんとテストに2年落ちPS01で参加したミナルディー。タイヤも支給してもらえず、F3000用のAVONタイヤで走行した。だ・・大丈夫なの?というのが本音である。
資金もなく、エンジンの代金も払えるか分からず・・・。いまだに新車は発表されず・・・。
頼りなのは新規加入のドライバー「ヨス・フェルスタッペン]だけである。彼は2年落ち車でAVONタイヤでトップのマクラーレンの2秒落ちで走った!これは驚嘆である。

と言うわけで総括すると、
・ルールに左右されるところは面白くなりそう。
・でも速さはフェラーリが圧倒的
・対抗はマクラーレン
・大穴はトヨタとBAR
としておこう。
開幕は3月9日決勝のオーストラリアGPである

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