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□◆□◆ブラッディー講座 特別編□◆□◆

F-1Grand Prix2022 Pre View

1、レギュレーション
2020年から世界的パンデミックとなったCOVID19感染症 は2021年も収束を見せなかったが、F1に関してはアジア以外の地域では無事開催されることとなった。いくつかのイベント変更があったものの、歴代最多の22戦が行われた。
ホンダワークス最後の戦いとなった2021年シーズンは、近年まれに見るメルセデスとレッドブルの一騎打ちがシーズンを盛り上げ、最終戦をチャンピオン候補ハミルトンとフェルスタッペンが同点で迎え、最終ラップで勝負がつくというドラマでもあり得ないような展開でシーズンを終えた。
そして現行レギュレーションは2021年で終了し、元々2021年導入予定だった車体回りの大幅なレギュレーション変更が2022年に実施されることとなった。
今年のレギュレーション変更の主眼は「乱気流の防止」がメイン。要は「追い越しやすくするのでバトルが期待できますよ」という変更になる。まあ見ている側からは楽しくなると言う話だが、果たしていいものやら・・・。では説明して見よう。

<テクニカルレギュレーション>
前述の通り後方乱気流(タービュランス)抑制のために車体造形は大きく変更された。
なんと安全性の理由から1983年に禁止されたグランドエフェクトカー(当時はウィングカー)が復活する。
では詳しく解説しよう。

@グランドエフェクトカーの導入
1983年より導入されていたフラットボトム規定および1995年から導入されたステップボトム規定が廃止され、マシンはグランドエフェクトカーとなる。
つまりマシン下面でのダウンフォースを最大化することで、前後ウィングを大幅に制限して、タービュランスを減少させようという目論見。
もちろん1982年まで使われていたようなサイドスカートは禁止となる。
グランドエフェクトカーはインディーカーではずっと採用されている技術なので、これにより安全性が損なわれることはあまりないだろう。
ただし、タービュランスが間違いなく減少するのか?」とかと言えばちょっと疑問かもしれない。結局空気の流れをデカい車体が乱しているのは間違いないのだから・・・
横風の影響も従来より多く受けるはずだ。

Aフロントウィングバージボードの廃止
フロントウィングは簡素化され、翼端板はウィングから一体となって垂直に立ち上げる形状が義務化される。
取り付け可能な整流板も制限されるので、フロントウィングで得るダウンフォースは大幅に減少するはずだ。。

Bリアウィングの形状変更
当面DRSは継続されるもののリアウィングの形状そのものの規制が厳しくなる。
翼端板形状はフロントウィングのようにメインウィングと一体化され、さらに付加物がほぼ禁止される。

Cディフューザーの廃止
フロア下面そのものでダウンフォースを得ることになるため、ディフューザーが廃止される。レッドブルが得意としていた大きなレーキ角からのディフューザー効果はそもそも必要なくなるというわけ。

D18インチタイヤの採用
そもそも時代の流れはタイヤはロープロファイルという方向に向かっているのに、F1だけが時代の流れに反して化石のような13インチホイールが長らく使用されてきた。
2022年からは18インチホイールとロープロファイルタイヤが採用されることとなった。
またホイールはSSC(標準供給コンポーネント)となり、BBSブランドの日本(新潟)製のホイールが採用されることとなった。

Eホイールカバーとタイヤディフレクターの採用
こちらもSSCとして供給されるパーツで、乱気流防止のためにフロントタイヤ上面のカバー、ホイールのカバーが義務化される。

Fパワーユニット開発禁止
次に採用されるパワーユニットレギュレーションは2025年に設定されており、それまでは現在の1600ccV6ターボハイブリッドを継続使用する。
これに伴い現行コンポーネントの開発が凍結される。つまり撤退したホンダエンジンを引き継ぐレッドブル勢には朗報というわけだ。

G最低重量の引き上げ
2021年に752kgに引き上げられたばかりだが、これはパワーユニットの最低重量引き上げに伴うものだった。
2022年は790kgにさらに引き上げられる。今回の引き上げはどちらかというと「運動性能を落とす」ため。なんせ38kgも増加するのだからラップタイムは落ちると予想される。

H燃料の変更
2021年はバイオエタノールを7.5%添加された燃料を使用していたが、この添加量が10%となったE10燃料へ変更される。全車同じ条件なので影響は少ないと思うが、信頼性面などでパワーユニットごとの影響が多少あるかもしれない。


<スポーティングレギュレーション>
マシン側の変更が大変大きなシーズンだが、運営上のルールもいくつか変更が入ることとなった。簡単に言えば「昨年の失敗を元に戻す」ものが多いのだが・・・

@パルクフェルメルール変更
従来は予選終了後にパルクフェルメマシン保管と言う扱いだったが、これがFP3開始後すぐと言うルールとなった。要は大幅なセッティング変更はFP3開始前に済ませておかねばならないと言うことだ。

AFP1,FP2のセッションタイム変更
2021年にFP1とFP2は60分のセッションに短縮されたが、これが再び90分に戻される。。

BQ2タイヤの決勝使用に関するルール撤廃
従来、Q3進出マシンはQ2時にベストタイムをマークしたタイヤで決勝をスタートする必要があったが、これが撤廃される。よってQ2でも決勝を見据えたタイヤ選定が必要なくなり、全車ソフトタイヤで全力アタック出来るようになる。

Cタイヤ選択権が復活
2021シーズンハード2,ミディアム3、ソフト8の合計13セットが統一して供給され ていたが、13セット中10セットを自由に選べることとなった。残る3セットは決勝用のハード、ミディアム、予選Q3用のソフトと各種1セットづつ供給される。
これはCOVID19で大幅にスケジュールが変更された昨シーズンから導入されたルールの踏襲だが、シーズン前から宣言して導入されるのは初めて。

Dスプリント予選
2021シーズンは3戦で試験的に行われたスプリント予選が今年も3戦行われることとなった。対象はエミリア・ロマーニャ、オーストリア、サンパウロ。
金曜日に予選を行い、その予選結果がスプリント予選の出走グリッドになる。スプリント予選は100kmのショートレースで、この結果が決勝グリッドになる。
ポイントは昨年は1〜3位にそれぞれ3〜1ポイントのみ与えられていたが、今年は1〜8位に8〜1ポイントが与えられる。
昨年はこのスプリント予選の優勝者に「ポールポジション」という称号が与えられていたが、今年は金曜日の予選での最速者に与えられる。

Eセイフティーカー解除ルール変更
2021シーズン最終戦で物議を醸したセイフティーカー解除時の周回遅れに関する取り扱いが厳格化された。
簡単に言えば「周回遅れ車両は追い抜き可能」という指示が出たら、次の周回終了時点でセイフティーカーはピットに戻るというもの。
つまり、周回遅れ車両は次の1周の間に周回を挽回して隊列最後尾につく必要があるが、それが出来なかったとしてもレースは再開される。
モナコのようなコース全長が短い場合に混乱しなければ良いのだが・・・。

2、マシン
今年のマシン上記の通り大幅なレギュレーション変更に伴い、見た目が全く異なる。よって前年のマシンコンセプトとは全く比較することが出来ない。 ただ、このようなレギュレーションの大幅変革があると冒険することが出来るのも事実。各チームごとの工夫が現れやすいシーズンとも言えるだろう。
また、ドライバーに関してはほとんど変更がない。ライコネンが引退しジョビナッツィーが外れた代わりに初の中国人F1ドライバー周冠宇と返り咲きのアルボンが参戦。大きなところではボッタスが放出されてラッセルがメルセデスに起用されたと言うところのみ。

ニューマシンを一言で解説すると、今シーズンはサスペンションとサイドポッド形状に注目すべし!となりそう。
サスペンション形状は2021年までフロントがプッシュロッド、リアがプルロッドと言うのが定番だった。これはフロントはより低く抑えたい&リアは上面空気の流れを乱したくないということから最適解として採用され続けてきたもの。
しかし、2022年はグランドエフェクトカーなので車体底面全体でダウンフォースが生まれる。よって車体下面と上面の気流をなるべく均一に取り込んで、ボディ下から吸い出すエアを最大化したい。
よってサイドポッドを上下に絞り込むか?左右に絞り込むか?が各チーム別れたということ。
さらにフロントウィングが昨年ほどダウンフォースを得られないことから、フロントサスペンション付け根をなるべく低く抑えたいということでプルロッドを採用するチームが出てきたのではないかと推定している。
よってマシン解説もこの2点を中心に書いてみたいと思う。

@メルセデスAMG F1-W13
No.44ルイス・ハミルトン
No.63ジョージ・ラッセル

8年連続のコンストラクターズチャンピオンとなったメルセデスは、間違いなく現代のF1では最速マシンと言えるだろう。ただし熾烈な争いとなったドライバーズタイトルは、 ホンダ有終の美となるレッドブルのフェルスタッペンに奪還されてしまった。
そして新しいレギュレーションとなった今年だが、非常にオーソドックスなマシンをリリースしてきた。おそらくグランドエフェクトカーになったとはいえ、マシンのバランスという点では2021年までのコンセプトをキープした方が良いだろうというのがチャンピオンチームの解かもしれない。
ただしサイドポッドの形状は特徴的だ。おそらく冷却系をサイドポッドフロントに集結させているとみられ、後部の絞り込みはかなりのもの。特に上面側の絞り込みがすごいのは昨年型と同じで、PUヘッドの部分と思われるバルジも昨年と同じ。
また、フロア前面に装着された整流板が特徴的で、これはボディ下面に流れる空気をなるべく直線的に流したいという表れではないだろうか?つまり、かつてのウィングカー時代にサイドスカートを使ってボディ下面側の空気を横からの影響が受けにくくする工夫と同じではないかと思われる。
いずれにしても大きな失敗はないデザインと言えるだろう。
また、今年からカラーリングがシルバーアローに戻ったのも大きな変化。シャープなマシンは「アロー」と言うにふさわしい。
MercedesAMG F1-W13
ドライバーは引退か?と言われていたルイス・ハミルトンと、新加入のジョージ・ラッセルというイギリス人コンビ。
ボッタスはやはりクビに近い形で放出されてしまったが、2020年終盤にピンチヒッターで ハミルトンの代わりにドライブしたラッセルのパフォーマンスを見れば当然かもしれない。
ラッセルがどこまでハミルトンの技を盗めるか?がコンストラクターズの9連覇鍵となるだろう。
そしてハミルトンは前人未踏のドライバーズタイトル8回目を今年こそ獲りたいだろう。そして引退というシナリオとみたが果たして・・・・。
すべては新レギュレーションに対して「攻めてこなかったマシン」如何にかかっている。

AレッドブルRB18
No.11セルジオ・ペレス、No.33マックス・フェルスタッペン

第4期ホンダF1参戦の最終シーズンとなった昨年、やはりレッドブルは死に物狂いでチャンピオンを取りに来た。そしてその結果はフェルスタッペンの初チャンピオンと行く形で実を結び、ホンダ第4期参戦の有終の美を飾った。
ただし、マシンの性能という面ではメルセデスの方が安定していたのは事実。長年コンビを組んでいたハミルトンとボッタスに比べて、初加入のペレスがマシンになれるまで時間を要したのも致し方なかったとは言える。
そして車体レギュレーションが大きく変わった今年、最も攻め込んできたのはなんとチャンピオンチームのレッドブルだった。
発表会ではスタディモデルへのカラーリングのみと言うことで、実質的にニューマシンがベールを脱いだのはバルセロナテスト当日!そしてそのマシンは独創性にあふれるものだったのは驚きに値する。
サスペンションがフロントプルロッド、リアプッシュロッド、絞り込みの強いサイドポッドと言えばマクラーレンと同じに見えるが、実はその作り込みには大きな差がある。
まず、フロントのプルロッドサスはアッパーアーム位置が特徴的で、プッシュロッドの代わりにアッパーアームを配置しているという形。要はダブルウィッシュボーンそのものの搭載位置が高いのだ。よってアームが走行中も山形になっている。これはボディに発生するダウンフォースへむけて流れる気流をなるべく阻害したくないからだろう。そしてアームの姿勢とフロントウィングの傾斜が一致しているように設計されているのもニューウェイの工夫だろう。
そしてサイドポッドアンダーカット絞り込みがとんでもなくエグい。その代わりサイドポッドは高めで冷却系も上方に配置されているようだ。つまりマシンそのものは腰高に見えるのだが、フロア株のダウンフォースは強大なものになるはずで、今年のレギュレーション変更を最大限生かそうというコンセプトが見て取れる。
レッドブルが先鞭をつげたリアのプルロッドをプッシュロッドに変更したのはかなり驚きだ。ただしこれもダウンフォースを発揮する空力パーツがサス後方よりも前方に来ると言うことから考えれば、トラクションのかかるリアはプッシュロッドで路面に押しつけたいという考えなのだろう。理にかなっているはずだ。
果たしてこの大幅なコンセプト変更は正しいのか?当たったら無敵、外れたら沈むという冒険要素の多いマシン造りをチャンピオンチームが行ってきたのは驚きだ。さすがニューウェイと言えるだろう。
Red-Bull RB18

ドライバーは2年目のコンビ、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス。
昨年のチャンピオン獲得には ペレス の多大な協力があったのも事実。そして絶対的速さがなくてもここ数年のペレスは上手い。よってマシン性能が絶対的に速かった場合はペレスもフェルスタッペンと同格の成績を残すことも可能なはずだ。
ただし、このチームの場合はフェルスタッペンの神がかり的な速さが不可欠とも言え、この前衛的なマシンを手に入れたフェルスタッペンの速さは開幕直後の注目と言えるだろう。

BフェラーリF1-75
No.14シャルル・ルクレール 、No.55カルロス・サインツ

昨年見事に復活を遂げたフェラーリ。まだまだメルセデスとレッドブルの2強に食い込むのは難しかったが、コンストラクターズ3位は立派。
この成績の立役者は安定した結果を残したサインツだろう。ルクレールもここ一発の速さは復活してきたし、パワーユニットの復活が大きく貢献したとも言える。
さて、2022年のマシンはと言うと、一番特筆すべきはサイドポッド形状だろう。フロントの大きな開口部から取り入れた空気を、ラジエターで熱交換させた後にサイドポッド側方で排気し、さらにサイドポッド上面を大きくえぐって冷気と一体化させてリアウィングへ導いている。
ボディ全体で得たダウンフォースを、上面流速を高めることでさらに効果を得たいのかもしれない。
反対にサスペンションは今までと同じくオーソドックスにフロントプッシュロッド、リアがプルロッド。ただしフロントプッシュロッド傾斜角はさほど大きくない。フロントウィング形状も直線的で、マクラーレンほど凝ってはいない。
全体的に美しい形状のマシンと言え、ここ数年のフェラーリのかっこ悪さは払拭されたイメージだ。フィリップモリスがスポンサーから下りたため、カラーリングも往年の「真っ赤なフェラーリ」に回帰した。
Ferrari F1-75
ドライバーはダブルエースと言ってもいいシャルル・ルクレールと、カルロス・サインツで変わりない。
どちらも安定した成績を残せるドライバーなので、後はマシンの出来次第。昨年PUが戦闘力を取り戻したので、ニューマシンのコンセプトがバッチリ決まれば大化けしてチャンピオン争いに加わることも可能と考える。

CマクラーレンMCL36・メルセデス
No.3ダニエル・リカルド、No.4ランド・ノリス

この2年間のマクラーレンは素晴らしい。常にコンストラクターズ3位争いを展開し、2021年はついにリカルドが優勝を飾るまでに成長した。
しかしトップ2と渡り合うにはまだまだロングランでの安定性がないのは事実。ということで今シーズンはかなり攻めたマシンを送り出してきた。
特徴は至る所にあるが、まずはフロントサスペンションをプルロッドにしてきたこと。これで押さえつける力は減るが、ボディへの気流は最低限にすることが出来る。フロント接地力はフロントウィングの第4翼を大型化することで対処しているようだ。
サイドポッドも全チーム中最小ではないかという攻めたデザイン。オーソドックスではあるが、昨年型のようなコークボトルの絞り込みを見せ、ボディ正面の断面を最小にすることでリアウィングへの空気抵抗を減らしている。よって直線ではかなり早いのではないかと推定。ただし、メルセデスPUは冷却に厳しいと言うが大丈夫なんだろうか?
そしてエアインテーク後ろのエアボックスが大きいのも特徴。これはPUへの吸気口かを最大化することを目的としていると思われ、昨年までのホンダPU搭載車で見られた手法だ。
低ドラッグに徹したマシン造りでストレートスピードを稼ぎ、ボディから発生する大きなダウンフォースでコーナーを切り抜けようという考えだろう。
McLaren MCL36 Mercedes
ドライバーはもはや盤石態勢と言えるランド・ノリスとダニエル・リカルド 。二人ともクレバーでなおかつ速い。ノリスの一発の速さとリカルドの安定性は他のチームにとって脅威のはずだ。
いよいよトップ2強を脅かす存在になってくるのか?実に楽しみだ。

DアルピーヌA522
No.14フェルナンド・アロンソ、
No.31エステバン・オコン

昨年は「ずんぐりむっくり」という感じの独創的なリアカウルだったアルピーヌ。早いのか遅いのかわからないと言うままシーズンを終えてしまったが、その中でもオコンが初勝利を挙げたり、アロンソが自前の粘り強さで上位入賞したりと、台風の目という存在になったのは確か。
そしてグランドエフェクトカーとなった今シーズンのマシンは、ルノーPUのレイアウト変更のせいだろうか?他チームと同様の低重心上部絞り込みのリアカウルに戻してきた。
特徴的なのはエアインテークの拡大とカウルサイドの排熱フィン。排熱フィンはフェラーリもアストンマーチンも採用しているが、ルノーのものは最も特徴的でサイドポンツーンとエンジンカウルの絶妙な位置に配置されている。
これはこの部分が2ピース構造になっていることに起因する。他チームはカウルとサイドポンツーンを一体成形で制作しており、これが軽量化にも寄与しているのだが、アルピーヌはあえて重量よりも排熱制御を取ったように思える。
つまりポンツーンは小さくしたいが、エンジン排熱は最適な方向から出したいと言うことなのだろう。
そのおかげでリアサスペンション周りのカウリングも無理がなくなっており、マシン下面と上面の整流を完全に分けることに成功しているようだ。
そしてポンツーン内に配置する冷却機器は最小にしているはずで、その分フロントの開口部は小さい。
フロントサスはプッシュロッド、リアはプルロッドとオーソドックスな構成ながら、フロントプッシュロッドの付け根は他チームより低く、ここの空力コンセプトはプルロッドにしてきたレッドブルやマクラーレンに近い。
フロントウィングのくの字も全チーム中最も鋭角になっていて、ここでも攻めの姿勢が見られる。
Alpine A522 Renault
ドライバーは2年目のコンビ、エステバン・オコンとフェルナンド・アロンソ。
アロンソのいぶし銀の速さは間違いなくオコンに影響を与えている。そのせいかオコンは戦略的に賢くなった。結果、初優勝という最高の成績を挙げられたと言える。
そして決して早くはないこのマシンを常に上位に持ってくることが出来るアロンソはさすがだ。マシン熟成における開発能力は群を抜いていると行ってもいいだろう。いつの間にかマクラーレンに次ぐ5位という成績を引き寄せるだけの力がこのチームにはある。
唯一の泣き所はルノーPUを使うチームがここだけと言うこと。これは開発凍結されているとはいえ、アップグレードに対する逆風なのは間違いない。

EアルファタウリAT03・レッドブル
No.10ピエール・ガスリー、No.22角田裕毅

ガスリー初優勝となった2020年に比べれば派手な結果はなかった2021年だったが、間違いなくアルファタウリは「強いチーム」となった。
なんと言っても予選Q3進出率の高さと、決勝での安定した速さは間違いなく上位のフェラーリやマクラーレンと戦えるポテンシャルがある。
ルーキーの角田を加えてもコンストラクターズ6位は上出来ではなかろうか?
レギュレーションが大きく変わった2022年はレッドブルコンポーネントを使うわけには行かず、もちろんオールニューのマシンを用意してきた。
このマシンの特徴はリアカウルとサイドポンツーンの中にあると思われる。ホンダPUの特徴であるおおきなエアインテークはなりを潜めたが、インテークが2分割されていることと、リアカウルを外から見た時の空気の流れ(風洞)が3本ありそうなところが特徴的。
エアインテーク上部の窓はエンジン吸気、下部の窓がインタークーラーの吸気、サイドポンツーンが冷却系の吸気で、サイドポンツーンから吸気した空気は、フロア下部のディヒューザーから排気されるのではなかろうか?これにより、ボディ下面空気の抜けを加速させるとすれば、リアカウル上部をあまり絞っていないことも納得できる。
サスペンションはフロントプッシュロッドながら、レッドブルから購入するリアはプッシュロッドに変更してきた。 そのため高い位置までカウルで覆うという独特の形状になっている。
ただしフロントウィングは比較的オーソドックスに4枚翼。大きく湾曲した4枚目はフロントタイヤ前方への影響を抑えたいがための形状だろう。
つまりこのマシンが良いか悪いか?はカウル内で大きく工夫していると思われる風洞制御が上手くいくかどうか?だと思う。
AlphaTauri AT03 Redbull
ドライバーは昨年と同じコンビでガスリ-と角田裕毅 。ガスリーはもはやレッドブル、メルセデスの4台の後ろに常にいるという実力で絶対エースだろう。そして角田もシーズン後半は粗さもなくなってガスリーに近い安定感を示すようになった。
2名ともタイヤに優しいドライバー なので、車体レギュレーションが大きく変わった今年は一気に飛躍できるかもしれない。そして18インチタイヤもF2で経験している角田はガスリーをしのぐ速さを見せるかもしれない。

FアストンマーチンAMR22・メルセデス
No.5セバスチャン・ベッテル、No.18ランス・ストロール

2020年に「ピンクメルセデス」と言われて台風の目となったレーシングポイント だが、かっこいいアストンマーチングリーンに彩られた2021年型は「史上最大の期待外れマシン」となってしまった。
Q3どころかQ1で敗退することも多数・・・。いったいどうしちゃったの?ということの答えは、昨年のプレビューで私の書いた「リアの造形攻めすぎ」に合ったような気がする。つまりリアハッピーな車になったが故、バランスを崩したと思われるのだ。
果たしてその辺の失敗を新しいレギュレーションで挽回できるか?が今年の鍵だ。
そして今年のマシンは他チームと比べて大きく異なる特徴が随所に見られる。
まずはサイドポンツーン。冷却に厳しいと言われるメルセデスPUのためか?サイドポンツーンが異様に大きいのだ。と言っても左右に大きくて上下には薄い。これはベンチュリー効果を生み出す車体と同じようにサイドポンツーンも翼に見立てている造形のように見える。そしてその冷却排気は上面に出すことでリアウィングへの気流を増加させているようだ。
そしてエアインテークも昨年のホンダエンジン搭載車よりも大きいくらいで、ここも本家メルセデスと違うところ。昨年同様にリアカウル絞り込みは大きいが、PUが継続されるのでここは当然だろう。
要は昨年失敗したリアハッピーなダウンフォースバランスをどうやって取るか?苦心したように思われる。
ちなみにサスペンションはオーソドックスにフロントプッシュロッド、リアプルロッド。
フロントウィングは4枚翼ながら4枚目の形状が特徴的で上から見た時にマシンに垂直にスパッと切れているような形。フロント部分のダウンフォースは最大限欲しいというコンセプトだ。
AstonMartin AMR22 Mercedes
ドライバーラインナップは変わらず、オヤジの後光ストロールとちょっといい子になってきたベッテル。ペレスを放出したのは失敗だったと思っているだろう。
昨年も書いたが、 二人ともマシンが決まったときは猛烈に速いタイプ。ただし外れると大きく外すタイプ。このムラがニューマシン熟成の足かせとならねば良いが・・・

GウィリアムズFW44・ メルセデス
No.6ニコラス・ラティフィ、No.23アレクサンダー・アルボン

ついにコンストラクターズ最下位を脱出したウィリアムズ。 ラッセル だけでなくラティフィも速さを見せるようになってきたというのは、強さ復活の兆しと言ってもいいだろう。実際、金もなく進化も最小限に抑えられた昨年型のマシンが中団と渡り合えたのは、2年間を共にした2名のドライバーとチーム力の賜と言っていい。
さて、大きくレギュレーションが変わる年には下位チームの飛躍も期待できるが、ウィリアムズは「手堅さ」の方を選んだようだ。
他チームが個性的な形状を見せるサイドポンツーンも至って普通だし、フロントプッシュロッド、リアプルロッドのサスペンションも変わらない。
ちょっと特徴があるのはフロントウィングで、他チームが4枚翼のところを大きめの3枚翼としてきた。これは面積をここで稼いでフロント接地力を高める狙いがあるのではないか?
要はフロア全体でベンチュリー効果が得られる今年のマシンなので、小さな空力付加物はピンポイントの効果だけ狙うという方法。
そのため、他チームにはないリアサス前のフロア整流板や、バージボード上の整流板などがあちこちに見られる。
Williams FW44 Mercedes
ドライバーはメルセデスに移籍したジョージ・ラッセル の代わりにアレクサンダー・アルボンが乗ることになった。1年のブランクがあるが、レッドブルをドライブした経験があるアルボンの加入は、「速い車の作り方」という意味でいい方向へ行くかもしれない。
3年目のニコラス・ラティフィは安定しており、アルボンのブランクを考えるとラティフィ主導のチームとなるような気がする。
このチーム、マシン造りがオーソドックスなだけに他チームが冒険に失敗した場合、序盤に大きく稼ぐかもしれない。

HアルファロメオC42 フェラーリ
No.24周冠宇、No.
77バルテリ・ボッタス

昨年はフェラーリエンジン が復調したものの、決して成功したとは言えないシーズンだった。少なくともレースペースでの不安定さは両ドライバをかなり四苦八苦させてしまった。一発の速さが生かせないというのは、タイヤの摩耗が進んだ時にペースが維持できないというもの。これはリア周りのグリップ不足によるものと思われる。
では今年は?と言うとこれがかなり期待できそうだ。と言うのもマシンコンセプトがフェラーリにとても近い。ただしPUがフェラーリながらギアボックスは自前。要は空力コンセプトだけをフェラーリに似せてきたと言える。最もフェラーリに近いコンセプトなのはサイドポンツーン。フェラーリよりも大きなフロント開口部は内部で複雑な気流構成に分けられているはずで、真ん中をえぐられたポンツーン上部の空力はフェラーリにとても近い。
加えて上方から排熱を出して流速を高めるコンセプトはフェラーリやアストンマーチンと同じ。
そして最も特徴的なのはリアのサスペンション。なんとプッシュロッドのリアサスを採用してきた。ここ数年、リアはプルロッドが最も良いという答えに落ち着いてきた中、あえてプッシュロッドというのはグランドエフェクト効果デリアが浮き上がるのをなるべく抑えたいのではないか?
フロントノーズの形状も独創的だ。アリクイ的なドロップノーズにはくの字型のフロントウィングが組み合わされる。その翼形状は他チームがエレメントの大きさを等間隔にしているのに対して1stエレメントが最も小さく、徐々に大きくすると言う面白いアプローチ。これは最もダウンフォースを生じるボディフロアの近いところではエレメントを大きくしたいというコンセプトだろう。
いずれにしても独創的アプローチをしてきた今年、吉と出るか凶と出るか?すべては開幕戦の予選でわかる。
AlfaRomeoC42 Ferrari 
ドライバーは今シーズン唯一の2枚替え。F2からステップアップした周冠宇とメルセデスを追われたボッタス。
ボッタスはむしろこのような中堅チームの方がいい仕事をするのではないだろうか?ウィリアムズ時代の輝く走りを取り戻してほしいものだ。周はF2では確かに速かったが、荒削りが目立ったドライバーでもある。まずはF1で完走することを目標に地道にステップを進める必要があるだろう。
ボッタスが予選Q3へ進むことが出来るようであれば、中団をかき回す存在になるに違いない。

Iハース・フェラーリVF22
No.9ニキータ・マゼピン、No.47ミック・シューマッハ

ここ数年低迷を続けるハース。 ついに昨年は万年テールエンダーとなってしまった。もちろんルーキー2名の投入というドライバーラインナップでは致し方ないところもあるのだが、それ以上に曲がらないマシンと跳ねまくるマシンでは誰が乗っても無理だっただろう。
車体が一新された今年は大チャンスなわけだが、ニューマシンを見る限りちょっと機体は出来そうにない。
と言うのもシェイクダウンされたマシンを見る限り「何も特徴がない」に近いのだ。ある意味FIAが用意したコンセプト画像に近い感じ。
サイドポンツーンは幅広で絞り込みも上面、下面どちらの絞り込みも少ない。フェラーリエンジンなのだが冷却系の工夫もあまり見られない。
ただ、フェラーリからPUとギアボックスを供給されると言うことで、少なくともその信頼性は確保されるはずだ。
フロントウィングとリアウィングはフェラーリのコピーか?と言うほどフェラーリに似ている。
つまり、オーソドックスなので大きな間違いもないが早くもないだろうという予測になる。
Haas VF22 Ferarri
ドライバーは2年目となるミック・ シューマッハとニキータ・マゼピン。
マシンがダメなので二人のせいにはしたくないが、少なくともシューマッハがクレバーに走っていたのに比較するとマゼピンの粗さはとても目立った。F2時代からのマゼピンの悪童ぶりがそのまま残ってしまった感じだ。
ただ、一発屋としてのマゼピンは一目置きたい存在で、あとは安定性を身につければ化ける可能性はある。
シューマッハは飛躍のシーズンにしなければならない。昨年は優等生ぶりが目立ったが、そろそろ父親のような「光る走り」が要求されるだろう。
とはいえ、マシンがちゃんと動いてくれるのが前提ではあるが・・・・

最近は新車の発表時に最近はCGオンラインで行うなど、実車が登場するプレテストまで実際のマシン形状がはっきりしない場合が多い。
そのためバルセロナテストが終了した2月27日まで正直何も判断できない状態だったと言うのが今シーズンの状況。
そしてようやくバルセロナテストが終わったので、ここで勢力図を予想してみよう。
まずはグランドエフェクトカーになって各車が悩んだポーポイズ現象。これはマシン下面の気流の乱れでマシン全体が上下動するというちょっと危険な現象。これは1970年代後半にグランドエフェクトカーが登場した時も各チームが悩んだもので、結果マシンにサイドスカートを着けるなどの対抗策がとられてきた。しかし現在サイドスカートは禁止されており、こうなるとマシン下部に入り込む気流をフロントで制御するしかない。
これには各チームとも大いに悩むだろう。フロントにプルロッドサスを採用しているレッドブルとマクラーレンがここでアドバンテージを得る可能性はある。
バルセロナテストの結果ではメルセデスがワンツーだったが、これはC5タイヤ装着でのタイム。逆にC4で0.4秒差のペレス、C3で0.6秒差のフェルスタッペンというレッドブルの速さが光る。また、フェラーリは同じC3でフェルスタッペンとの差が100分の6秒差にルクレールが付けているし、サインツもほぼ同タイム。この3チームが完成度が高いと言えるだろう。
ただしフェラーリは開幕前ダッシュがお得意なチームでもあるので、バーレーンテストではどうなるか?がちょっと怪しい感じ。
アストンマーチンとマクラーレン、ウィリアムズも完成度は高そうだが、まだ一発の速さはないように感じる。
アルピーヌ、アルファロメオはマシンの完成が遅かったこともあり、現時点では開発が遅れている感がある。まだまだ走り込みが足りないのだろう。クラッシュやマシンストップも多かった。
ハースは・・・やはりというべきか?他チームに対して常に3秒は遅れている。若い二人にオールニューマシンをシェイクダウンさせてセッティングして行くのは難しいのではないか?
3月1日時点でブラッディーの予想する勢力図は以下
@レッドブル
Aメルセデス
Bフェラーリ
Cマクラーレン
Dウィリアムズ
Eアストンマーチン
Fアルファタウリ
Gアルピーヌ
Hアルファロメオ
Iハース

開幕戦は昨年同様バーレーンで迎えることとなった。昨年は23戦が予定されていたがCOVID19影響で22戦にとどまっってしまった。今年こそは史上最大23戦 を是非開催してもらいたいものだ。
昨年より1週間早い3月20日に開幕戦が行われ、3週間早い11月20日が最終戦というのはタイトすぎるスケジュール であり、それに伴って連戦も増えている。車体が全く異なる今年は昨年以上にチームにとって大忙しだろう。

昨年コロナ影響でカレンダーから落ちたオーストラリアと日本が復活。逆にポルトガルとトルコがカレンダー落ちした。
新規開催地としてはアメリカで2戦目の開催となるマイアミが追加された。
昨年開催となったサウジアラビアはシーズン序盤に日程変更された関係で、最終戦のアブダビが繰り上がった格好だ。
連戦は7回と増え、代わりに3連戦は2回に減ったが、アゼルバイジャンからのカナダとか、ロシアからのシンガポールとか、ブラジルからのアブダビとか、かなり強行スケジュールだ。
ただし、ウクライナ情勢により第17戦ロシアGPの中止&代替開催はないというリリースが出されている。果たしてどうなるか?
・開幕戦バーレーンと第2戦サウジアラビア
・第6戦スペインと第7戦モナコ
・第8戦アゼルバイジャンと第9戦カナダ
・第10戦イギリスと第11戦オーストリア
・第12戦フランスと第13戦ハンガリー
・第14戦ベルギー、第15戦オランダ、第16戦イタリアの3連戦
・第17戦ロシア、第18戦シンガポール、第19戦日本の3連戦
・第20戦アメリカと第21戦メキシコ
・第22戦サンパウロと最終戦アブダビ
例によって夏休みが第11戦ハンガリーと第12戦ベルギーの間に4週間取ってあるのだが、夏休みを短くしても3連戦はやめた方がいいのでは?とか思ったりもする。 (これは昨年も書いた)

開幕戦 バーレーンGP(サクヒール) 3月20日
第2戦 サウジアラビアGP(ジェッダ市街地)3月27日
第3戦 オーストラリアGP(メルボルン) 4月10日

第4戦 エミリア・ロマーニャGP(イタリア・イモラ) 4月24日
第5戦 マイアミGP(マイアミ) 5月8日
第6戦 スペインGP(バルセロナ) 5月22日
第7戦 モナコGP(モナコ市街地) 5月29日
第8戦 アゼルバイジャンGP(バクー市街地) 6月12日
第9戦 カナダGP(モントリオール市街地) 6月19日
第10戦 イギリスGP(シルバーストン) 7月3日
第11戦 オーストリアGP(レッドブル) 7月10日

第12戦 フランスGP(ル・カステレ) 7月24日
第13戦 ハンガリーGP(ブダペスト) 7月31日
第14戦 ベルギーGP(スパ・フランコルシャン) 8月28日
第15戦 オランダGP(ザントフォールト) 9月4日
第16戦 イタリアGP(モンツァ) 9月11日
第17戦 ロシアGP(ソチ) 9月25日
→中止になる可能性が高い
第18戦 シンガポールGP(シンガポール市街地) 10月2日
第19戦 日本GP(鈴鹿) 10月9日

第20戦 アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカ) 10月23日
第21戦 メキシコGP(ロドリゲス) 10月30日

第22戦 ブラジルGP(サンパウロ) 11月13日
最終戦 アブダビGP 11月20日

ということで予想の総括!
開幕ダッシュはポーポイズ現象を克服したチームと言うことになるだろう。おそらくレッドブル、メルセデス 、フェラーリの3チームのうちどこかだろう。この中でまずは抜き出るのがフェラーリではないかと思う。ただしそれは序盤だけで、第6戦スペインあたりからメルセデスとレッドブルが台頭。
この中にマクラーレンが絡んでくる展開となれば面白い。
アストンマーチン、ウィリアムズ、アルファタウリが中団争いを展開して、第12戦フランスあたりからアルピーヌが徐々に中団争いをかき回す。
気になるチームはマクラーレンとウィリアムズ。なんと言ってもフェラーリを含めたこの3チームだけが1980年代のベンチュリーカーを走らせた実績があるのだから。
チャンピオン候補の予測も難しいが、本命フェルスタッペン。対抗はハミルトン。穴にノリスとしておこう。
鍵を握るのはポーポイズ現象の押さえ込みと、フロントの接地安定性。これを克服したチームが勝つ!

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